私がP2Pとかに興味を持ったソフトについて映画化されたので、観てきました。
きちんと、ドキュメンタリー映画で良かったと思います。金子さんのキャラクターがよく分かる感じでした。
あと、愛媛県警の裏金問題は全く知らずこの映画で知ったので、日本もこういうレベルで汚職って普通にあるんだと思いました。
ところで、中立ではないと述べている意見をちらほら見ました。ドキュメンタリー映画は事実に基づいたもので、どう見せるかという観点では中立である必要性はない。というよりも、何かを伝えたくて映画にしているので、基本は中立ではないと私は思っています。映画で得た感情に流されずにこれをきっかけに事実を並べて自分なりの意見を持つのは良いことだと思います。
さて話を戻して。当時技術を知らない中学生でしたが、Winnyの報道は何か的外れだと感じていて、それでマスメディアというのは信用できないんだなと覚えた記憶があります。
しかし、私はWinny擁護派ではありません。
というのも、当時LinuxディストリビューションのCDイメージをダウンロードする方法としてTorrentというP2Pソリューションを使っていました。そのため、キャッシュコントロールができず、むしろハッシュタグベースで積極的にキャッシュコピーを作って中継するWinnyはどうなんだろうという違和感がありました。当時は匿名化やプライバシー保護については知らなく関心もなかったのです。
一方で、いま改めて思うと、匿名化とミキシングについては、プライバシー保護になり、まさに県警の裏金問題のファイルとかの観点では示唆するものがあります。(「警察裏金」実名告発の幹部が私に教えてくれた事 - 東洋経済オンライン)
したがって、著作権侵害ほう助という指摘に対しては、国家の暴力装置に対抗しうるレベルのプライバシー保護技術を考えたときの実験的な手法にすぎない という反証の仕方があったかなと思います。
法的な観点でどうあるべきかは統合的に考えるとかなり難しく、最高裁で示されるべき典型的事例だったとは思われ、最後まで裁判続けた金子さんや弁護士団やサポートされた方々には敬意します。
映画の中で知った金子さんのキャラクターによれば本当に悪意はなかったんだろうなと思う一方で、どのような使われ方をするかは自明で、そのアンバランス感が悲劇だったと言えそうです。技術者倫理の教育の重要性を改めて思うところです。