上田さんとの出会いは、新卒1年目に会社の先輩に連れてきてもらったテクニカルジャンボリーでした。私はその常連になり懇親会にも参加して一緒にお酒を飲んで仲良くさせてもらっていました。月日が経って、私がやんごとなき事情により急遽退職したときに、今の会社に誘ってくれたのも上田さんでした。部署は違うけれど仕事柄やはりOSSを取扱うことだったり社内イベントで週1ペースでよく顔を合わせて会話をする仲でした。歳の差はかなりあるのですが、価値観が合うというか馬が合う方でした。ねこまつさんだいぶ英語できるようになったねとか家買ったんだとか私の成長を喜んでくれる方でもありました。
上田さんは、本当にいつまでも魂が若い方でした。少年のような無邪気さと情熱が全く衰えない。OSSとそのコミュニティが好きすぎて、語り始めると超早口になる。日本語でも英語でもそうでした。基本的には穏やかな紳士ですが、感情が高ぶると前のめり。たまに失礼になるのだけど、本音で話しているのがよく分かるから、そこがまた彼が多くの人に好かれるキャラクターでもありました。
上田さんは相当多くの時間をご自身が経験したオープンソースコミュニティがもたらす素晴らしさや衝撃を伝えることに割いていたように思います。こんなすごい人がいるんだぜ、こんなやり方があるんだぜ、実際にうまくいってるんだぜ と。社内社外問わず講演や雑談をしていました。最近は慶応義塾大学とも何か活動されていました。だから、教え子の人数は相当いて看過された人も少なくないようです。https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=KO12005001-00002016-0051
そういえば、本も無事に出版してましたね。OSSライセンスの教科書 というやつです。
また、趣味も私が知っている限りでは鉄オタであり野鳥系を中心にカメラ好きでもありました。ほぼ毎日公園に行って撮影してはFacebookに写真を上げて四季の移り変わりなどをコメントしていました。上手ですよねっていうと決まってカメラの性能が良いからねと照れ隠ししながら謙遜していました。確か年末に天ぷら揚げてたりしてたから料理も好きっぽい。
ここ最近は、役職定年やジャンボリーのクローズなど譲ることも意識して行動されていました。譲ることが一通り終わった最中でもありました。じゃあもうすっかり引退かと思いきや、まだまだプレイヤーとしてOSSやコミュニティのありようが変わりつつあることについても一緒に話していて、社会・コミュニティ・会社にとってどうしていくべきだろうかとか難しいことにも取り組んでいくさなかでもありました。
やはりこんなショックなのは、親しかったということに加えて突然のことだったということにあると思います。上田さんはやりたいこといっぱいあっただろうし、私もまだまだ話したいことがあったし飲みにも行きたかった。上田さんの体験したことや歴史をもっと知りたかった。それが叶わないことに対する喪失感ややるせなさです。
とはいえ、年齢が上がれば肉体的なリスクはあるし、私も若くてもそれこそ事故や災害があれば誰にだって突然はやってくるという気持ちは昔からずっとあって。まぁ、でもまだだいぶ先になるとは思いますが再開する時はまた仲良くしてください。ひとまずは、さようなら…!